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ライティング倶楽部第四回(正式には第三回)はエア参加多数
- 2012.01.25 Wednesday
- ライティング倶楽部作品
- 22:13
- comments(2)
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- by 中宮崇
1/21のライティング倶楽部第3回は、リアル参加8名、作品のみのエア参加6名と、これまでにない多数のエア参加。
前回作「世界の片隅で孤独を叫んだけもの」(お題:隠れ家)は完全にオタク趣味に走って読者のことなんぞこれっぽっちも考えず書いたが、今回はまた原点に回帰し軌道修正したし文字制限もちゃーんと守った。そのため、会での評判はそこそこだったと思う。
この会では主催者のみちこさんがかねがね、「そのうち男性メンバー限定で恋愛小説を書いてきてもらおう」とか恐ろしいことを言っているが、本作には部分的に個人的な恋愛観(というより人生観)もおりまぜてあるので、ある意味恋愛小説的な面も含んでいる。
幸福のカタチ(お題:おくりもの)
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-wfwlrvuokgmk7eaqoonohfmtka-1001&uniqid=00b5fbe1-3d45-43ab-8307-47853dfb4701&viewtype=detail
元々最初に思い浮かんだ時にはこの作品は、3編からなるオムニバスの一つという位置付けだった。しかしどう考えても一枚には収まりきらないので、他の2編は切ることにした。構造としては、この地球の成り立ちの物語があり、その下に日本という国の成立の物語があり、そしてこの、家族の物語が来る。ちなみに、会で物語を書く時は大抵、最初はこうした階層構造のオムニバスの形で思い浮かぶ。
執筆時間はいつもの通り2時間ちょっとぐらい。例のごとく、会のギリギリ直前に書いた。
トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」(ちくま文庫)を月曜会でやったせいもあって、前回に引き続きポストモダン文学を意識して書いてはいるが、その点については、前回作品「世界の片隅で孤独を叫んだけもの(お題:隠れ家)」程には成功していない。ポストモダン文学についての個人的考えは以下を参照。
トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」が難解だとの叫び1
http://nakamiya893.jugem.jp/?day=20120115
シチュエーションについては、なぜセールスマン物語を思いついたのかとの質問が参加者あったが、実のところワード立ち上げた途端に思いついただけで、それほど深く考えてはいない。ただ恐らく、魔法少女まどか☆マギカに出てくるキュゥべえの名ゼリフ「僕と契約して魔法少女になってよ!」ってのが少なからず影響しているように思う。それと作品の特定はできないが、SFとか漫画・アニメにはこういうのは結構ありがちだと思う。
シチュエーション以前に重要なのは、人生のやり直しとか交換の是非というテーマそのもので、元々こっちのほうが先にあって、セールスマン云々はあとで出てきただけ。このテーマについては恐らく高専生だった頃からずーっと現在に至るまで考え続けているもので、マドマギについて以前ここで書いた日記にも、その辺りのことが反映されている。
今年(昨年)のまとめ3 2011年アニメが危険と思うこのごろ その2
http://nakamiya893.jugem.jp/?day=20120106
読めばわかるように、今回作で取り上げたテーマも、現状肯定的に受け取れる結末も、第二回作品「帰省」(課題「旅・旅行」)と非常に似ている。両者ともに、ありえたかも知れないよりよい未来よりも、どんなに辛く苦しかろうが現に生きているこの人生を選択するというものになっている。こうした考えが、2011年アニメに多かったループものに反発を覚えた原因の一つになっている。
ポストモダン小説を意識した以上、解釈の多様性を狭めるのは本来おかしいことなんで、ここから先は作品未読者は読まないように。
まず、終始気をつけたのは、主人公の薫が男か女か分からないようにしたところ。そのため、同居人のことを「旦那」や「妻」ではなく「パートナー」とか「連れ合い」とかちょっと苦しい言い方をしている。会ではどうも、薫は女性だと感じた参加者が多かったようで、ちょっとその辺りの書き方は失敗気味かもしれない。まぁ男だと思われるよりは良かったかも知れないが。
この点に関連して、薫が夢中になっていた「「金八先生」に出ていたあの方」というのは、薫が女性だと考えて読んだ読者ならば武田鉄矢がイメージされるかも知れない。これは、薫が決してイケメン好みではないということを示唆していると言う点では結果的に良かったのだが、実は書いた時点ではそこまで考えていない。登場人物が男女それぞれ山ほど出てくるので対象を特定しにくく好都合だろうし、薫が男だろうが女だろうが困らないだろう、ぐらいにしか考えていなかった。
評判のよかった最後の薫のセリフ「いつもいつもいつもいつもごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃとウッサイなぁ!もぉ!」は、最初は「ごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃとウッサイなぁ!もぉ!」だった。しかし、最後の「もぉ!」を末尾行の頭に持ってくるために「いつもいつもいつもいつも」を付け加えた。「ごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃとウッサイなぁ!もぉ!」というセリフ自体は、現人生を選んだ薫は決して「理想的人生」とか「正解」とかを選んだわけではないことを示唆させるためにも、書き始める前から入れようと思っていたものである。
全体について見てみると、そもそもこのシチュエーション自体相当変である。いきなり訳の解らんセールスマンがやってきて変なこと言っているのに、薫が普通に応対している。薫にとってこのシチュエーションは現実かそれとも妄想なのかははっきりしないようにわざと書いているが、この点に関しては、薫にとってはどっちでも構わないという点が重要である。いずれにせよ薫はこうしたやり取りによって、普段は全く無意識な自分の人生とそのあり方について意識的に考えをめぐらし、最終的に選択を行なっているというところに意味がある。ただ、最後のパートナーのセリフに「さっさとお薬を飲んで」というのを入れてしまったのは、ちょっとあざとかったかも知れない。
世にも奇妙なセールスマンを追い払った後、薫が連れ合いに「ただの押し売りだった」としか言わないところも、人によっては変に感じるかも知れないが、これについては最初から、連れ合いに詳しいことは伝えないようにすると決めて書いていた、というか、そういう薫の姿しか思いつかなかった。それは、作者的にこの点こそが、理想の家族像の一つとなっているからである。基本的に二人の間で、軽い日常的なやりとりはあっても、家計とか将来のビジョンなどについてなどの重要性の高い会話は余り無い。多分一緒にいても、まったりとしている時間のほうが長い。二人共それぞれ、日々の仕事や人間関係のことなどで辛いことや悩みなどがあるはずだし、過去の苦い思いや、自分たちの将来について思うことなどもあるはずだ。ひょっとしたら、自分の知らないところでパートナーが、今回のように、自分を救い支える重大な努力や決断をしてくれているのかもしれない。しかしそんなことはわざわざ言わないし、相手も訊かない。訊かなくても、相手がそういうことをしてくれているだろうなということはお互いわかっている。それでいて、お互い相手のことはさり気なく気遣っている。薫の「んー、ただの押し売り」の「んー」の部分は、この奇妙な体験をパートナーに詳しく報告して相手に気を遣わせるべきかどうかという一瞬の迷いを示している。また、パートナーの「さっさとお薬飲んで、少しは手伝って」という返しも、薫が服薬しているかどうかをきちんとチェックしているということを示唆している。あ、童貞君のキモイ妄想だとか言わないで……
薫の性格については、自分のあり方の理想も入っている。奇怪で異常な状況に直面しているのに特に慌てず突っ込まず、細かいことは気にせずどこか飄々として、いろいろな誘惑に心が揺れながらも最も重要な点についてだけしっかりと見極めて大雑把に無理せず生きて行く。サウイフモノニワタシハナリタイ。
薫のそうした性格は、セールスマンにパートナーを貶められた際の対応にも現れている。薫に何かされてセールスマンは「イタイッ!鼻はやめてくださいよ、鼻は……」と言っているが、この点はよく考えてみるとちょっとおかしい。一体鼻に何をされたのだろうか?殴られた?つままれた?指パッチン?いずれにせよ、薫は相当に加減している。実際に喧嘩なんぞをしたことがある人ならわかるだろうが、そうでなければ鼻血でも出ているはずだ。つまり、パートナーのことを悪く言われていれば普通なら激昂して強烈に打撃を与えて流血の惨事にでもなるはずなのだが、薫は比較的冷静に、加減して対応していることになる。そして相手を痛めつけるより、パートナーの素晴らしさを相手に伝えようということに力を入れている。でもその直後、セールスマンの反撃を受けてしまい、この企ては頓挫することになる。
で、ダメ出し。いつもの僕の癖だが、同じ言い回しをくどく使っちゃっている。今回も例えば最初の5行目に「いや」が3つも出てきている。勢いだけで書いてあとで見直さずにいると大抵こうなってしまい、読みなおした時に後悔することになる。
次に、タイトル。「幸福のカタチ」にするか「幸せのカタチ」にするか迷って5秒で決めたが、いずれにせよ結果的に、ありがちで安易なタイトルだった。帰宅後ぐぐってみたら、同種のタイトルの曲とか漫画とかがゴロゴロ出てきた。
3つ目に、登場人物の名前。薫ってのが安易過ぎる。男だか女だかわからないようにということで決めた名前だが、それなら一層のこと名前を一切出さなくても良いような書き方にするべきだったと思う。
4つ目。意図的にほぼ全文会話形式にしたのだから、どうせなら完全に会話文のみで押し通すべきだった。
5つ目。作風が星新一風すぎる。個人的に星新一は大嫌いなんで、似ないように似ないようにと書いたつもりだったのだが、やっぱり星新一になってしまった。
特に調べたことはないので憶測だが、多分SFオタの大部分は星新一を余り好まないのではなかろうか。コアなSFオタにとっては、日本的な生活感が漂うあの手の作風ってのは、ちょっと我慢出来ない。男の子はSFにはもっと大きな夢を託したいんですよ、きっと。
6つ目。趣味に走った前回から軌道修正はしたのだが、それでもオレのオタ魂が火を吹いて、趣味的なネタを入れてしまった。薫の「宇宙人か未来人か異世界人か超能力者か知らないけど」というセリフは、涼宮ハルヒの憂鬱におけるハルヒの有名な自己紹介を元にしている。
7つ目。薫がセールスマンの鼻をどうにかした後のセリフ「うちの連れ合いは、こんな自分のことしか考えて来なかった私でも、人を愛したり他人のために考えることができる能力を持っているんだって教えてくれたかけがえのない人なんですからね」が硬すぎるし説明的過ぎる。この部分も作者の願望が強く出すぎてしまったための結果。こういうパートナーにいつか出会えると良いですなぁ。
今回の作品の傾向。ますます物語が増えていく…。
論文 エッセイ 物語 マンガ 詩
第一回 1 7 5 0 0
第二回 0 3 7 1 1
第三回 0 2 8 0 2
第四回 0 2 11 0 1
あと、ピンチョンの影響なのか、登場人物が匿名とか名前が記号だったりする物語が殆どだった。
前回作「世界の片隅で孤独を叫んだけもの」(お題:隠れ家)は完全にオタク趣味に走って読者のことなんぞこれっぽっちも考えず書いたが、今回はまた原点に回帰し軌道修正したし文字制限もちゃーんと守った。そのため、会での評判はそこそこだったと思う。
この会では主催者のみちこさんがかねがね、「そのうち男性メンバー限定で恋愛小説を書いてきてもらおう」とか恐ろしいことを言っているが、本作には部分的に個人的な恋愛観(というより人生観)もおりまぜてあるので、ある意味恋愛小説的な面も含んでいる。
幸福のカタチ(お題:おくりもの)
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-wfwlrvuokgmk7eaqoonohfmtka-1001&uniqid=00b5fbe1-3d45-43ab-8307-47853dfb4701&viewtype=detail
元々最初に思い浮かんだ時にはこの作品は、3編からなるオムニバスの一つという位置付けだった。しかしどう考えても一枚には収まりきらないので、他の2編は切ることにした。構造としては、この地球の成り立ちの物語があり、その下に日本という国の成立の物語があり、そしてこの、家族の物語が来る。ちなみに、会で物語を書く時は大抵、最初はこうした階層構造のオムニバスの形で思い浮かぶ。
執筆時間はいつもの通り2時間ちょっとぐらい。例のごとく、会のギリギリ直前に書いた。
トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」(ちくま文庫)を月曜会でやったせいもあって、前回に引き続きポストモダン文学を意識して書いてはいるが、その点については、前回作品「世界の片隅で孤独を叫んだけもの(お題:隠れ家)」程には成功していない。ポストモダン文学についての個人的考えは以下を参照。
トマス・ピンチョン「競売ナンバー49の叫び」が難解だとの叫び1
http://nakamiya893.jugem.jp/?day=20120115
シチュエーションについては、なぜセールスマン物語を思いついたのかとの質問が参加者あったが、実のところワード立ち上げた途端に思いついただけで、それほど深く考えてはいない。ただ恐らく、魔法少女まどか☆マギカに出てくるキュゥべえの名ゼリフ「僕と契約して魔法少女になってよ!」ってのが少なからず影響しているように思う。それと作品の特定はできないが、SFとか漫画・アニメにはこういうのは結構ありがちだと思う。
シチュエーション以前に重要なのは、人生のやり直しとか交換の是非というテーマそのもので、元々こっちのほうが先にあって、セールスマン云々はあとで出てきただけ。このテーマについては恐らく高専生だった頃からずーっと現在に至るまで考え続けているもので、マドマギについて以前ここで書いた日記にも、その辺りのことが反映されている。
今年(昨年)のまとめ3 2011年アニメが危険と思うこのごろ その2
http://nakamiya893.jugem.jp/?day=20120106
読めばわかるように、今回作で取り上げたテーマも、現状肯定的に受け取れる結末も、第二回作品「帰省」(課題「旅・旅行」)と非常に似ている。両者ともに、ありえたかも知れないよりよい未来よりも、どんなに辛く苦しかろうが現に生きているこの人生を選択するというものになっている。こうした考えが、2011年アニメに多かったループものに反発を覚えた原因の一つになっている。
ポストモダン小説を意識した以上、解釈の多様性を狭めるのは本来おかしいことなんで、ここから先は作品未読者は読まないように。
まず、終始気をつけたのは、主人公の薫が男か女か分からないようにしたところ。そのため、同居人のことを「旦那」や「妻」ではなく「パートナー」とか「連れ合い」とかちょっと苦しい言い方をしている。会ではどうも、薫は女性だと感じた参加者が多かったようで、ちょっとその辺りの書き方は失敗気味かもしれない。まぁ男だと思われるよりは良かったかも知れないが。
この点に関連して、薫が夢中になっていた「「金八先生」に出ていたあの方」というのは、薫が女性だと考えて読んだ読者ならば武田鉄矢がイメージされるかも知れない。これは、薫が決してイケメン好みではないということを示唆していると言う点では結果的に良かったのだが、実は書いた時点ではそこまで考えていない。登場人物が男女それぞれ山ほど出てくるので対象を特定しにくく好都合だろうし、薫が男だろうが女だろうが困らないだろう、ぐらいにしか考えていなかった。
評判のよかった最後の薫のセリフ「いつもいつもいつもいつもごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃとウッサイなぁ!もぉ!」は、最初は「ごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃとウッサイなぁ!もぉ!」だった。しかし、最後の「もぉ!」を末尾行の頭に持ってくるために「いつもいつもいつもいつも」を付け加えた。「ごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃごちゃとウッサイなぁ!もぉ!」というセリフ自体は、現人生を選んだ薫は決して「理想的人生」とか「正解」とかを選んだわけではないことを示唆させるためにも、書き始める前から入れようと思っていたものである。
全体について見てみると、そもそもこのシチュエーション自体相当変である。いきなり訳の解らんセールスマンがやってきて変なこと言っているのに、薫が普通に応対している。薫にとってこのシチュエーションは現実かそれとも妄想なのかははっきりしないようにわざと書いているが、この点に関しては、薫にとってはどっちでも構わないという点が重要である。いずれにせよ薫はこうしたやり取りによって、普段は全く無意識な自分の人生とそのあり方について意識的に考えをめぐらし、最終的に選択を行なっているというところに意味がある。ただ、最後のパートナーのセリフに「さっさとお薬を飲んで」というのを入れてしまったのは、ちょっとあざとかったかも知れない。
世にも奇妙なセールスマンを追い払った後、薫が連れ合いに「ただの押し売りだった」としか言わないところも、人によっては変に感じるかも知れないが、これについては最初から、連れ合いに詳しいことは伝えないようにすると決めて書いていた、というか、そういう薫の姿しか思いつかなかった。それは、作者的にこの点こそが、理想の家族像の一つとなっているからである。基本的に二人の間で、軽い日常的なやりとりはあっても、家計とか将来のビジョンなどについてなどの重要性の高い会話は余り無い。多分一緒にいても、まったりとしている時間のほうが長い。二人共それぞれ、日々の仕事や人間関係のことなどで辛いことや悩みなどがあるはずだし、過去の苦い思いや、自分たちの将来について思うことなどもあるはずだ。ひょっとしたら、自分の知らないところでパートナーが、今回のように、自分を救い支える重大な努力や決断をしてくれているのかもしれない。しかしそんなことはわざわざ言わないし、相手も訊かない。訊かなくても、相手がそういうことをしてくれているだろうなということはお互いわかっている。それでいて、お互い相手のことはさり気なく気遣っている。薫の「んー、ただの押し売り」の「んー」の部分は、この奇妙な体験をパートナーに詳しく報告して相手に気を遣わせるべきかどうかという一瞬の迷いを示している。また、パートナーの「さっさとお薬飲んで、少しは手伝って」という返しも、薫が服薬しているかどうかをきちんとチェックしているということを示唆している。あ、童貞君のキモイ妄想だとか言わないで……
薫の性格については、自分のあり方の理想も入っている。奇怪で異常な状況に直面しているのに特に慌てず突っ込まず、細かいことは気にせずどこか飄々として、いろいろな誘惑に心が揺れながらも最も重要な点についてだけしっかりと見極めて大雑把に無理せず生きて行く。サウイフモノニワタシハナリタイ。
薫のそうした性格は、セールスマンにパートナーを貶められた際の対応にも現れている。薫に何かされてセールスマンは「イタイッ!鼻はやめてくださいよ、鼻は……」と言っているが、この点はよく考えてみるとちょっとおかしい。一体鼻に何をされたのだろうか?殴られた?つままれた?指パッチン?いずれにせよ、薫は相当に加減している。実際に喧嘩なんぞをしたことがある人ならわかるだろうが、そうでなければ鼻血でも出ているはずだ。つまり、パートナーのことを悪く言われていれば普通なら激昂して強烈に打撃を与えて流血の惨事にでもなるはずなのだが、薫は比較的冷静に、加減して対応していることになる。そして相手を痛めつけるより、パートナーの素晴らしさを相手に伝えようということに力を入れている。でもその直後、セールスマンの反撃を受けてしまい、この企ては頓挫することになる。
で、ダメ出し。いつもの僕の癖だが、同じ言い回しをくどく使っちゃっている。今回も例えば最初の5行目に「いや」が3つも出てきている。勢いだけで書いてあとで見直さずにいると大抵こうなってしまい、読みなおした時に後悔することになる。
次に、タイトル。「幸福のカタチ」にするか「幸せのカタチ」にするか迷って5秒で決めたが、いずれにせよ結果的に、ありがちで安易なタイトルだった。帰宅後ぐぐってみたら、同種のタイトルの曲とか漫画とかがゴロゴロ出てきた。
3つ目に、登場人物の名前。薫ってのが安易過ぎる。男だか女だかわからないようにということで決めた名前だが、それなら一層のこと名前を一切出さなくても良いような書き方にするべきだったと思う。
4つ目。意図的にほぼ全文会話形式にしたのだから、どうせなら完全に会話文のみで押し通すべきだった。
5つ目。作風が星新一風すぎる。個人的に星新一は大嫌いなんで、似ないように似ないようにと書いたつもりだったのだが、やっぱり星新一になってしまった。
特に調べたことはないので憶測だが、多分SFオタの大部分は星新一を余り好まないのではなかろうか。コアなSFオタにとっては、日本的な生活感が漂うあの手の作風ってのは、ちょっと我慢出来ない。男の子はSFにはもっと大きな夢を託したいんですよ、きっと。
6つ目。趣味に走った前回から軌道修正はしたのだが、それでもオレのオタ魂が火を吹いて、趣味的なネタを入れてしまった。薫の「宇宙人か未来人か異世界人か超能力者か知らないけど」というセリフは、涼宮ハルヒの憂鬱におけるハルヒの有名な自己紹介を元にしている。
7つ目。薫がセールスマンの鼻をどうにかした後のセリフ「うちの連れ合いは、こんな自分のことしか考えて来なかった私でも、人を愛したり他人のために考えることができる能力を持っているんだって教えてくれたかけがえのない人なんですからね」が硬すぎるし説明的過ぎる。この部分も作者の願望が強く出すぎてしまったための結果。こういうパートナーにいつか出会えると良いですなぁ。
今回の作品の傾向。ますます物語が増えていく…。
論文 エッセイ 物語 マンガ 詩
第一回 1 7 5 0 0
第二回 0 3 7 1 1
第三回 0 2 8 0 2
第四回 0 2 11 0 1
あと、ピンチョンの影響なのか、登場人物が匿名とか名前が記号だったりする物語が殆どだった。
- コメント
- 小説読みました。ぼくも薫という名前のせいか、1行目から女性とイメージしました。アマガミっぽいものの影響かもしれません..全体としては星新一そのものという印象しか受けませんでした^^;;;;いや、星新一っぽいことを除いてもよく出来てると思いますが。あ、オチは弱いか..
あと文字が詰んでいるので、フォントは明朝系のものにして欲しかったです。
-
- ”読書強制者”(エンフォーサー)こと、光の使者
- 2012/01/25 10:54 PM
- 光の使者さん。お読みいただきありがとうございます。
フォントについては最初は明朝体にしていたのですが、なぜかそれだとカギカッコのフォントが潰れてしまいうまくPFD・JPG化できず見難くなってしまったため、アップ時は変更しました。
-
- 中宮崇
- 2012/01/26 6:23 PM
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