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    マーチン・ファン・クレフェルト「補給戦」(中公文庫)覚書1

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      8/17(金) 猫町倶楽部アウトプット勉強会課題本

      マーチン・ファン・クレフェルト「補給戦」(中公文庫)

      は軍事学上の一般教養書、基本書ですが「兵站」というキーワードに注目した、ビジネス上も極めて有用な研究書です。はっきり言って、ビジネスマンにとってはクラウゼヴィッツの「戦争論」よりはるかに重要な書です。それほど専門的な軍事知識が必要なわけではありませんが、若干の軍事的予備知識・教養を踏まえておくと読解が楽になるため、軍事初心者用に何度かに分けて注釈を書いてみます。
      各時代の作戦や、それに伴う人名、地名が細かく書いてありますが、以下の注釈で特に触れているもの以外は、それらには余り注意する必要はありません。流し読みで読み飛ばしても問題ありません。結論や分析の部分だけ読みこめば十分です。逆に、この本に書かれている軍事上の知識がおおかた理解できるようになれば、軍オタと十分渡り合えます。一見分厚いですが、細かい戦史にこだわらなければ合計8時間もあれば十分読みこなせるはずですので、今からでもチャレンジしてみましょう。


      P10L1「軍事理論家ジョミニ」

      軍事学史上重要な本を書いた5本の指に入る超有名人なので名前を覚えておきましょう。「戦争概論」という書物の著者ということで有名です。
      他には、「孫子」、クラウゼヴィッツ「戦争論」、リデル・ハート「戦略論」ってところでしょうか。あれ?あと一人は?

      P11L7「その結果軍事史の書物の上では、ひとたび司令官が決心すれば、軍隊はいかなる方向に対しても、どんな速さでも、またどんな遠くへでも移動できるように思われている」

      素人だけでなく軍人さんでも結構こう勘違いしちゃう人がいますが、軍隊は移動させるだけで大変です。たかだか数十人の月曜会のツアーを企画・運営するだけでもどれだけの労力がかかるかを考えてみましょう。というか、移動させなくても存在しているだけでご飯食べさせたり色々と大変です。

      P11L15「ナポレオン戦争がそれまでの戦争と根本的に異なっていると今なお信じられている分野は兵站術であるが、そのこと自体兵站術という問題がなおざりにされていることを示している」

      それまではただの無秩序な略奪と現地調達に頼っていた軍隊が、ナポレオン時代から軍として公式に「徴発」を組織化し近代化したというのが、一般的な認識です。しかしクレフェルトはそうした常識に対して疑問を投げかけます。

      P12L2「ロンメルを扱ったおびただしい書物のいずれもが、1941〜42年における補給の困難さがロンメルの敗北をもたらした重要な要因だと述べているが」

      第二次大戦の北アフリカ戦線において、イギリス相手に寡兵で大活躍した名将ロンメルですが、一般的には、ドイツやイタリアから地中海を経た海上輸送が連合国に制空権・制海権を握られていたためうまく行かず、補給不足により彼の有能さが発揮できず敗北したと評価されています。本書でクレフェルトは、そうしたこれまでの常識に否を唱え、補給は十分だったにもかかわらずロンメルの愚かさが自らの敗北を招いたとの結論を導いています。

      P12L8「リデル・ハートによるシュリーフェン計画の批判である」

      リデル・ハートは前述の「5本の指に入る超有名人」のお一人。「間接アプローチ戦略」がキーワード。「戦略論」ってご本が有名。シュリーフェン・プランは、第一次大戦に備えてドイツのシュリーフェンというえらーい軍人さんが考えた作戦です。軍事史上常識レベルなプランなのでWikiなど見て覚えておきましょう。本書でも後から重要な研究対象として登場してきますし。当時ドイツは東にロシア、西にフランスという2つの敵に挟まれていました。一度に両方相手にするのは不利になるんで、まず最初に全力でフランスを手薄なベルギー辺りから攻め込んでやっつけてしまい、それからゆっくりロシアを倒そうとした計画です。失敗しちゃいましたけどね。この計画は第二次大戦においてもナチスドイツに色々影響を与えます。

      P22L5「補給制度が戦略に及ぼした影響を評価する際、いちばん目立つ事実は、ほぼ永久的に一つの町に駐屯しない限り、軍隊というものは食って行くためには常に移動を続けねばならなかったということである」

      よく太平洋戦争中の日本軍が「補給を軽視して飢餓に直面し負けた」とか批判されますが、実のところ第一次世界大戦まではどこの国も似たり寄ったりでした。船とかトラックとか鉄道とかで本国から部隊まで食料その他の必要な補給物資を何でもかんでも届けて養うなんてのは、第二次世界大戦になってからやっとこ広まり始めた「常識」です。それまでは、現地で買ったり略奪したりと、その場で間に合わせていました。従って、いつまでも同じ所にとどまっていると略奪するものも買えるものもなくなってしまい餓死してしまうんで、「常に移動を続けねばならなかった」わけです。

      P24L1「それゆえに特別の二、三の例を除けば、17世紀では軍隊の補給を断つことは戦略的に不可能だった」

      第二次世界大戦においては、敵部隊を包囲したりはるか後方に戦車部隊や騎兵部隊を送り込んで道路や鉄道を寸断して「補給”線”」を断つことは一般的に有効な作戦でした。燃料が送られてこなくなれば部隊は動けなくなりますし弾薬が来なくなればお手上げです。食料が届かなくなれば餓死を待つばかりなので降伏するしかありません。しかし前述のように、17世紀においてはそもそも現地調達が基本なため「補給線」なる概念が存在しないので、存在しないものを断つことはできず、補給線が極めて重要な現代の戦争とはかなり異なった様相を見せることになります。

      P65L8「食糧供給に比べて弾薬の供給は、はるか後年の1870年の普仏戦争後まで、たいしたことではなかった」

      第二次大戦以降、特に現代においては、弾薬・燃料が補給・兵站に与える負担の方が食糧に比べてはるかに重要になります。

      P67L7「他の誰よりもまして、ナポレオンの兵站術とナポレオン以前のそれとの違いを強調したのは、クラウゼヴィッツであった」

      前述のP10L1注釈にも出てきた、5本の指に入る超有名人です。クレフェルトはクラウゼヴィッツにより作られたこの「常識」に対して真っ向から異論を唱えます。ナポレオン以前とナポレオンの兵站術とは実のところさほど違いはないというのが彼の主張です。

      P120L8「よく言われるように、田野が全体として余りにも貧しかったため、軍を支えることができなかったというのも真実ではない」

      ナポレオンによるロシア遠征失敗の原因は一般的には、ロシアが焦土作戦を採用したためナポレオンが現地調達に頼ることができず飢えに瀕したためだと言われています。しかしクレフェルトは、そんなことねぇよ!ボゲ!とこれまた異論を唱えているわけです。

      P142L15「19世紀後半は鉄道の興隆時代であった。モルトケの戦争体系のうち、この新輸送手段を軍事目的のために革命的に利用したことほど、多くの注目と称讃を受けたものはなかった」

      鉄道以前は馬車や荷車だったわけで、そりゃ革命的ですね。でもクレフェルトは、実はそれほど革命的でもなかったんだよ、というか宝の持ち腐れで余り有効に機能しなかったんだよ、と異論を唱えます。
      モルトケ(大モルトケ。この後シュリーフェンプランの時に小モルトケも出てきます)さんも、戦史上も軍事学史上も極めて重要な、ナポレオンなどに匹敵する常識レベルの人名ですので、Wikiるなどして覚えておきましょう。

      P149L6「ここでは、1860年代においてはドイツ――すなわちプロシャ――の鉄道は、いかなる見地から見てもフランスのそれより劣っていた事実を指摘するにとどめよう」

      このあとに登場するシュリーフェンプランにも関わる記述です。普仏戦争においてドイツ(はまだ当時存在していないので、正確にはその母体となったプロシャ・プロイセン・プロシア)がフランスに勝利した大きな理由の一つは、優れた鉄道網を巧みに利用し、フランスよりも素早く適切な場所に軍隊を移動させることができ、十分な量の補給物資を最前線の部隊に届けることができたためだと一般には言われています。クレフェルトはまたもやそうした「常識」に挑戦します。

      続くhttp://nakamiya893.jugem.jp/?eid=3632



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