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    マーチン・ファン・クレフェルト「補給戦」(中公文庫)覚書3

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      前回http://nakamiya893.jugem.jp/?eid=3632の続き。

      P283L5「これに対しヒットラーは、ウクライナの小麦、ドネツの石炭および鉄鋼、コーカサスの石油それにクリミア半島の占領(「クリミア半島はルーマニア油田に攻撃をかける航空母艦である」)に、より強い関心を持っていた」

      独ソ戦における有名なエピソードです。首都モスクワ攻略のために全力を傾けるよう主張する将軍たちに対しヒトラーは、「諸君は戦争経済というものをわかっていない」と批判し、モスクワ以南の資源・穀倉地帯攻略のために戦力を分散させました。この決定は一般的に、モスクワ攻略を失敗させた原因として批判されています。しかしここでもクレフェルトは、ヒットラーの決定を擁護します。
      また、当時ドイツの同盟国であったルーマニアは、枢軸同盟におけるほぼ唯一の石油供給国として極めて重要でした。

      P287L12「すなわち問題は至るところにある泥濘と全く同じように、鉄道線の稼働の悪さに原因があったのである」

      対ソ戦(バルバロッサ作戦)の失敗の原因は一般に、ソ連国内の道路事情の悪さ(泥濘や凍結)による補給の失敗であると言われています。しかしクレフェルトは、それ以前に鉄道による補給体制に根本的な欠陥があったと主張します。

      P296「しかしながら、第二次大戦の全期間を通じて完全に自動車化された軍隊の創設に手を染めることができたのは、交戦国中たった一カ国しか存在しなかった――アメリカ合衆国である」

      この人達はもうこの頃から反則的なチート国家だったわけです(;´Д‘)
      これ以外にもアメリカは、大戦中エセックス級正規空母だけで24隻(月刊空母」の異名を持ちます)、カサブランカ級等の護衛空母に至っては80隻以上(「週刊空母」の異名)と、馬鹿かとアホかと。こんな変態連中を相手に戦争して本当に勝てる気でいたんでしょうか。

      P300L1「この戦争は兵站術以外の原因で敗れた。その原因の中には疑問のある戦略、ぐらぐらしていた統帥機構、乏しい資源のいわれなき分散が数えられる」

      旧日本軍についてはよくこうした「失敗」が未だに批判・検証されていますが(東京アウトプット勉強会課題本にもなっている「失敗の本質」(中公文庫)が有名ですね)、どこの国も多かれ少なかれ同じような失敗してまんなー、ってことです。

      P302「枢軸国の中東攻略がヒットラーの勝利になりえたであろうかという問題は、第二次世界大戦史において、いまだに最も多くの論争を呼んでいるものの一つである」

      ロンメル将軍による北アフリカ戦線のお話しになります。
      P12L2注のおさらい。

      「第二次大戦の北アフリカ戦線において、イギリス相手に寡兵で大活躍した名将ロンメルですが、一般的には、ドイツやイタリアから地中海を経た海上輸送が連合国に制空権・制海権を握られていたためうまく行かず、補給不足により彼の有能さが発揮できず敗北したと評価されています。本書でクレフェルトは、そうしたこれまでの常識に否を唱え、補給は十分だったにもかかわらずロンメルの愚かさが自らの敗北を招いたとの結論を導いています」

      北アフリカ戦線における一連の作戦(キャンペーン)も、軍事学上常識レベルの知識なので、余裕のある人はWikiるなり説明動画探すなりして概略程度は掴んでおくといつか幸せになれます。
      概略:ドイツが対ソ戦の準備で忙しくしているところに、イタリアのムッソリーニは野心むき出しに、イタリア領リビアからイギリス領エジプトの攻略という全く余計なことをやらかします。そして、ヘタリアとして先進国中最も弱いことで定評のあるイタリア軍は案の定めっためったの返り討ちにあいリビアに逃げ帰ります。そのリビアさえ防衛が難しいほどぎたんぎたんにされちゃったんで、ヒットラーは青筋立てつつ仕方なく、対ソ戦用兵力を引きぬいてロンメル共々アフリカに派遣します。ヒットラーや司令部から「余計なことしなくていいからおとなしく防衛だけしておれ」と言われていたロンメルは、命令を無視して寡兵を率いて、エジプト目指して殴りこみを仕掛けます。ヒットラーや司令部は怒りましたが、ロンメルさんなんだか勝っちゃって敵のチャーチル首相にさえ「砂漠の狐」とかおだてられてエジプトの手前まで行けてしまったんで渋々増援部隊とか補給物資とか送りますが、結局負けちゃってリビアも失い、枢軸国軍は北アフリカから叩き出されることになりましたとさ(その後アフリカからイタリア本土に上陸されてムッソリーニは殺されちゃいます)。
      一応「中東攻略」の意義として言われているのは、

      ・エジプトを落とせていればスエズ運河を閉鎖できるんで、連合国の特にインド-イギリス本国ルートを遮断でき、連合国の経済に大打撃を与えられる。
      ・エジプトからさらに先に進んでシリア、イラン(トルコでもいいけど)をぶち抜けば、ソ連の下腹部であるコーカサス地方などの資源地帯を直接攻撃することができる

      などといったものが専門家などからは良く言われていますが、「そんなことできる兵站能力なんてねぇよ!」ってのがクレフェルトの主張です。ちなみにこの頃はまだ中東にはたいして油田発見されていなかったんで、石油が確保できるからとかいった理由は考えなくていいです。
      あとついでに余裕のある人向けに、ヘタリアの弱さ伝説の参考リンクを。ここまで来るとむしろカワイイ。

      全盛期のイタリア軍伝説
      http://blog.livedoor.jp/yumemigachi_salon/archives/51690331.html

      イタリア軍はなぜ弱いのか?
      http://blog.livedoor.jp/netamatome/archives/3605295.html

      P304L1「パットンのような人物でさえ、少なくとも若干の現地徴発を直接行なわざるをえなかった」

      パットンさんは、アメリカ陸軍の将軍です。映画やドラマなどでも有名ですね。「パットン大戦車軍団」とか。戦史上の常識とまでは行きませんが、一般教養的人名です。
      以下余談なので余裕のある人以外は覚えなくてもOK。
      アメリカ軍において最も電撃戦を理解し、そしてもっとも非民主主義的で横暴なおっさんとして有名です。大戦中も色々スキャンダルを起こして新聞沙汰になり名を馳せました。PTSDで入院していた兵士をぶん殴って活を入れたとか、友軍のトラックを積荷の燃料や物資ごと強奪したとか、まぁそういう騒ぎを色々起こしましたが、指揮官としての能力はアメリカ軍中ピカ一と評価されています。終戦間際には「ヒトラーと戦ってなどいないで手を組んで、(当時アメリカの同盟国であった)ソ連をやっつけてしまえ」とか不穏なことも。まぁその後の冷戦のことを考えれば結局は彼が正しかったのかもしれないけど。当然色々恨みも買っていたようで、終戦直後に謎の自動車事故で死んじゃいます。

      P309L15「こうしてヴィシー政府との交渉が始まった」

      ドイツに負けちゃった後、フランスは首都パリを含む北部を占領地として取り上げられ、南部や海外植民地のみ傀儡政権として独立を許されました。首都が温泉地として有名なヴィシーに移されたため、この時期のフランスのことを「ヴィシー政権」と言います。
      リビアの西側(エジプトとは反対側)の北アフリカ一帯(現在のモロッコとかアルジェリアとかチュニジアとかのあたり)はもともとフランスの植民地だったんで、そこにあった物資とかトラックとかを、困っているロンメルのアフリカ軍団に売ってくれないかっていう交渉がなされました。
      ちなみにヴィシー政権のボスは第一次大戦の時の英雄であるペタン元帥ですが、彼はヒットラーの真似して独裁制を敷いた上でユダヤ人虐殺とかもやっちゃったんで、戦後に死刑を言い渡されますが減刑されて流刑地で生涯を閉じます。
      どうでもいいけど、ヴィシソワーズとか言うフランスのスープは、ヴィシー風スープって意味らしいんだけど、親ナチのヴィシー政権に反対する料理人たちが戦争中「クレーム・ゴロワーズ」って改名しようって運動したんだけど定着しなくて結局今でもヴィシソワーズのままなんだとさ。

      P311L17「彼が直面した困難は、これまでしばしば主張されてきたように、マルタ島の戦闘能力を奪うことに失敗したからではなかった」

      マルタ島はイギリス領で、イタリア半島とリビアの間あたりの地中海のど真ん中にあります。マルタ騎士団で有名ですね。ワンちゃんのマルチーズの発祥の地でもあるらしいです。大規模なイギリス軍部隊が駐留し、枢軸国によるロンメルアフリカ軍団に対する海上輸送を大いに邪魔しました。一般的に、イタリア軍がヘタリアなためにマルタ島を攻略も無力化もすることができず、そのためにロンメルへの補給が滞り、彼が十分活躍できなくなり敗北に至った、と言われています。クレフェルトはこの見解を全面否定します。

      続くhttp://nakamiya893.jugem.jp/?eid=3637

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